現代の食生活においては炭水化物抜きのダイエットなどが流行り、炭水化物を摂取すると太ると思われています。
では炭水化物が体のなかでどのように分解され利用されているのか、糖質の代謝からみていきます。
食事から摂取した糖質や体内で産生されたグルコースはリン酸化されてグルコース6-リン酸となった後に主に3つの経路で代謝されます。
・解糖経路→クエン酸回路(TCAサイクル)
・ペントース酸経路
・ウロン酸経路
解糖系
解糖経路は1分子のグルコースを2分子のピルビン酸または乳酸にする経路であり細胞質ゾルで行われます。嫌気的条件下においてはグルコース1分子から2分子のATPが生成されます。
激しい運動時の筋肉やミトコンドリアのない赤血球ではATPの供給源となります。
解糖系で生じた2分子のNADH+HイオンまたはFADH2となって電子伝達系に入り、酸化的リン酸化により2分子のNADH+Hイオンから5分子のATPが、2分子のFADH2から3分子のATPが生成します。
TCAサイクルは解糖経路で生成したピルビン酸がミトコンドリア内に入り、CoAと結合することでアセチルCoAとなり反応していきます。
この反応を触媒する酵素はピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体でビタミンB群が補酵素として必要です。
TCAサイクルではグルコース1分子から2分子のピルビン酸が生成し、2分子のアセチルCoAとなる際に2分子のNADH+Hイオンが生じるのでATPが6分子生成されます。
このサイクルにおける脱炭酸反応はイソクエン酸から2-オキソグルタル酸さらにスクシニルCoAの生成で起きます。
有機酸の脱水素反応はコハク酸からフマル酸、リンゴ酸からオキサロ酢酸で起きます。
また電子伝達系や酸化的リン酸化によりATPが生成され、TCAサイクルで生成されるATPは合計20分子となります。
解糖経路からTCAサイクルを経て合成されるATPはグルコース1分子から骨格筋・脳では30分子、肝臓・腎臓・心筋では32分子となります。
ペントース酸経路:核酸の合成に必要なリボース5-リン酸とNADPH+Hイオンが生成されNADPH+Hイオンは脂肪酸やステロイド合成の際に水素供与体として使われます。
ウロン酸経路:UDP-グルコースはUDP-グルクロン酸を経て解毒反応に必要なグルクロン酸の生合成に利用されます。また、グリコーゲン合成にも利用されます。
今回糖質が分解されエネルギーになる流れをみてきました。特に脳はグルコースがエネルギーの大部分を占めるため、不足すると脳に影響を及ぼし兼ねません。
また上記にもあるようにビタミンも補酵素として重要であるため不足すると糖質がうまくエネルギーにならないことがわかります。
つまり、糖質を全く摂取しない状態は不利益をもたらすため、食事はバランスよく取りたいところです。
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