低糖質

これからの食生活にかかせない。低糖質よりもハイレジスタントスターチ(ハイレジ)とは?

最近ではローカーボ食やロカボなどの低糖質ダイエットが流行っています。

しかし糖質を制限することはQOLを低下させることもしばしばあります。

そこでハイレジスタントスターチ、いわゆるハイレジ食に注目が集まっています。雑穀米や全粒粉という言葉も目にするようになっており、これらはハイレジの一種でもあります。

 

ルミナコイド

レジスタントスターチはルミナコイドから派生するもので、ルミナコイドとは「ヒトの小腸内で消化・吸収されにくく、消化管を介して健康の維持に役立つ生理作用を発揮する食品成分」と定義され、レジスタントスターチもその一つです。

ルミナコイドは食物繊維、オリゴ糖、糖アルコール、レジスタントプロテイン、およびその他非デンプン性の消化性食品成分、およびレジスタントスターチ、難消化性デキストリン等のデンプン性の難消化性食品成分を包括的に定義する言葉です。

・糖吸収遅延・抑制による血糖上昇の抑制

・胆汁酸・コレステロールの吸収遅延/排泄促進による血清コレステロール値の低下

○ルミナコイドの脂質代謝への影響

コレステロール負荷の有無にかかわらず、コレステロール低下作用をもたらす多くのルミナコイドの摂取において胆汁酸排泄の増加が認められています。

またレジスタントスターチの1種であるハイアミロースコーンスターチの血清コレステロール濃度低下作用は盲腸切除しても喪失することはなかったという報告があります。

○ルミナコイドのエネルギー摂取への影響

食物繊維の日常的な摂取によるエネルギー摂取量の低下が肥満の防止に有効な可能性が疫学的調査により多数報告されています。また食物繊維、特に粘性の高い水溶性食物繊維は摂取エネルギー制限による肥満治療の際の空腹感の緩和に用いられており、これらについても多数の論文が報告されています。

 

生体が摂取した食事中のエネルギーは消化管または脂肪組織で感受され、消化管では単純な嵩効果による物理的な刺激や栄養素成分の化学的な刺激を受け、エネルギーの過不足に応じてシグナルを出します。コレシストキニン(CCK)、グレリンなどは消化管の物理的または化学的な刺激により血中に分泌されるホルモンであり、吸収された栄養素成分が肝臓や膵臓を刺激します。これは刺激に即応的に分泌され迷走神経で感受されて中枢系の食欲制御機構に伝達され、劇的に摂食行動に変化をもたらすが長期的なエネルギー収支には大きな影響を持たないと考えられています。

 

レジスタントスターチ

レジスタントスターチは「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないデンプンおよびデンプンの部分分解物の総称」と定義され、現在4タイプに分類されています。

同じ難消化性多糖類でも食物繊維が非デンプン性であるのに対し、RSはデンプン性です。デンプンのα―グルコース分子が直鎖状に重合している部分は水素結合によりα―グルコース残基6個で約1巻きのらせん構造となっているが、このらせん構造内に脂肪がはまりこんだ包接複合体も消化しにくいのでRS-5としても紹介されています。

【栄養・生理機能】

・小腸で消化抵抗性を示す

・小腸管腔内での他栄養素との相互作用

・大腸において腸内細菌による分解を受け水素ガスや短鎖脂肪酸を生じる

・大腸機能の改善作用

・整腸作用

・コレステロール低下作用

・食後血糖値の抑制

・腸管免疫機能改善

・抗肥満効果

 

レジスタントスターチは小腸で消化・吸収されないだけでなく、栄養素(脂質、タンパク質、消化性糖質)の消化・吸収の場を一部小腸上部(空腸)から小腸下部(回腸)へと移行させる働きがあります。小腸下部に運ばれた脂質、タンパク質、消化性糖質はGLP-1、PYY以外の消化管ホルモンの分泌を誘導することも十分に考えられます。こうした消化・吸収の場の下部への移行は大腸での腸内発酵にも大きな影響を与えます。腸内細菌の種類と肥満の関係、腸内発酵産物である水素ガスの生体内酸化障害の抑制作用などが明らかにされています。

レジスタントスターチはそれ自体が腸内細菌の発酵基質になるだけでなく、他の食品成分との相互作用を介する新機能も期待できます。

デンプンからくるエネルギー量は60-70%になり、このことは一つの食品へのレジスタントスターチの添加量が少なくても1日あたりを考えるとかなりの量のレジスタントスターチの摂取が可能となります。またレジスタントスターチ自身デンプンであるのでデンプン食品への添加も比較的容易です。
またレジスタントスターチの利用は食物繊維摂取量を増加させます。

レジスタントスターチをうまく活用することで糖質摂取量を軽減できたり、腸内環境を改善することができるのでハイレジの今後に注目です。

 

 

引用
・Howarth NC.Saltzman E,Roberts SB(2001) Dietary fiber and weight regulation.Nutr Rev 59:129-139.
・Englyst HN,Kingman SM,Cummings JH,Eur.J.Clin.Nutr.,46(suppl.2),s33-s60(1992)
etc.

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